自分の腕の中で震えていた藍… 涙の粒を頬にいっぱいくっつけたまま、タオルを差し出してきた藍 そして 自分の手を擦り抜けるように 離れていった白い指――― 黙ってしまった悟の横顔を、マリアはじっと眺めていた。 と、そのとき突然、彼女の携帯が鳴る。 「藍からやわ」 ディスプレイの表示を見て呟いたその名前に、悟の心が即反応したのが、マリアには手に取るようにわかった。