「え…怖いって言うか、その…」 「藍…?」 「苦しい…」 小さな声で藍は呟いた。 「…息が?」 悟の問いに、ただコクコクと藍は頷く。 息が苦しいのか 胸が苦しいのかわからない。 悟が怖いのか 悟を諦められなくなる自分が怖いのか 悟に振られるのが怖いのか マリアを傷つけるのが怖いのか それを怖くなくなる自分が怖いのか――― 混乱してしまって、もはや藍は自分でもよくわからなくなっていた。