「んじゃ行くわ。今日はほんまにありがとう。
悟がいてくれて助かったよ」
欄干に立てかけてあったバッグを手に取り、藍がくるっと振り返ろうとしたとき、悟が言った。
「俺、送るから…」
「ええよ、一人で帰れるし」
「あほか、またあいつらに絡まれたらどないすんねん」
「大丈夫。あの人ら忙しそうやったやろ?」
にっこり笑って、藍が歩き出そうとすると、悟はグイッと藍の腕を掴んだ。
それから以前のことを思い出したのか、スッと力を抜き、彼は藍の手をそっと握った。
「送る」
悟は真剣な眼をして、真っ直ぐに藍を見詰める…



