…悟はそんな藍の耳をふさいでくれ、ギュッと抱き締めてくれた。
「怖くないよ」と囁いてくれた。
彼女を全身で包み込むようにして、悟は楡崎達の話に「クソッ」と何度も低く呟いていた。
そのうちにその声がだんだんと掠れ、今藍の髪にかかる悟の息は熱く…震えている。
(悟…たぶん泣いてる…)
洩れる息遣いで、悟が必死で嗚咽をこらえているのがわかった。
温かい胸が震えていた。
(何で悟が泣くん…?)
藍はびっくりして
どうしたらいいのかわからなくて
ただ悟の背中にギュッと腕を回していた。
悟は藍の髪に顔をうずめ、震える声で途切れ途切れに言った。
「藍…悔しい…俺…」



