――――
楡崎達が引き揚げた後も、藍はまだ悟の腕の中にいた。
悟が動かない。
藍を強く抱き締めたままじっと固まっている。
(悟…?)
悟の胸は思っていたよりもずっと大きくて、温かかった。
さっきまでそんなことを感じる余裕さえなく、藍はただその腕の中で身を縮めていた。
楡崎がああいう人間だということはもうわかっていたはずなのに、実際にあんな言葉を耳にするのはかなりキツくて、涙がこぼれて仕方なかった。
しかも全部悟に聞かれてしまって、恥ずかしくて情けなくて本当に消えてしまいたかった。
(早く終わって欲しい)と、ただそれだけを祈り続けた。



