「話したことなかったっけ? 去年の夏、バイトで引っ掛けたバージンの子」
「ああ、やり逃げしたってやつ?」
「ちゃうわ、やり逃げられ、や。
こっちはあれでバイトはクビになるし、あの子の友達に携帯は破壊されるしで、さんざんな目に遭ってんからな」
「はは、自業自得やん」
悟は藍に話が聞こえないようにと、彼女の片耳を自分の胸に押し当て、もう片方を手でギュッとふさぎ、全身で包み込むように藍を抱き締めた。
「あの子、泣いて嫌がったんやろ?」
「そういうの逆にそそられるしな」
「うわ、犯罪や」
「人聞きの悪いことを言うな。言うとくけど、僕はあの子と付き合ってたんやで。両想いやったんやからな」



