ちょうど道は戎橋と交差するように伸びており、そこを曲がって藍は橋の上を行く。 急いでいるのに人込みに押され、なかなか前へは進めない。 (いやや、追いつかれる。どうしよう…) 前の団体を無理に追い越そうとして跳ね返され、藍はよろけてバランスを崩した。 「キャ…」 「藍っ!」 そのとき力強い腕が伸び、倒れそうになる彼女を支えた。 「悟…?」 悟の黒い瞳が、心配そうに自分を覗き込んでいる。 思いがけず出会ったその顔にホッとして、藍は思わずその胸に飛び込んだ。