…――藍を見つけられないまま
時間はもう2時を過ぎた。
(レッスンの時間変わったかも知れん)
(違う曜日になったんかも…)
(てかエレクトーン、実はやめてる?)
待つのは平気だ。
見逃したのなら、レッスンを終えて戻ってくる藍を見つければいい。
だけど…先週も暗くなるまで待ったが彼女は現れなかった。
藍はもうここへは通っていないのではないかという思いが、悟の頭を掠める。
『自分には何にもないから』
そう言って、エレクトーンを習う理由を明かしてくれた藍の笑顔が、今更ながらいじらしい。
(一生懸命前を向いていたのに…)
もしも藍がエレクトーンをやめていたとしたら…
それはきっと自分のせいだ、と悟は思った。



