学校ではいつもユキやマリアといるので、藍には声を掛けづらい。
ていうか、近づくと鉄拳が飛ぶ。たぶん。
結構親しくしていると感じていたが、こうなってみると藍は案外遠い人だった。
実は電話番号もメアドも知らない。
でもマリア達には訊くに訊けない。
藍の最寄り駅で待っていようかとも考えたが、それではちょっと怖がられるかとためらわれた。
この際ミナミのこの場所で、偶然を装い声を掛けるのが一番いいと悟は思ったのだ。
この人込みの中から見つけられれば…の話。
でももし、自分を見た瞬間――
藍がビクッと凍りついたりしたら…
(そのときはマリア達の言う通り、もう藍に近づいたらあかん…よな)



