その日の学校帰り――
藍の最寄り駅のホームに降り立ったとき、ユキがマリアに声を掛けた。
さっきからマリアはずっと押し黙っていて喋らない。
「マリア、大丈夫?」
「え、ああ、うん」
全然大丈夫そうではなかった。
ぼぉっとしているようにも、何かを考えているようにも見える。
藍に言われたことを気にしているのだろうと、ユキは思う。
『マリアになんか、わからへんもん』
そう藍は言った。
自分を支えようとするマリアの手を、パシッと振り払った…。
「もうええって言うのは別れるってこと?」
「え?」
「悟に『もうええ』って言うたやろ?」
「ああ…」
力なくマリアは首を振る。
「わからん」
ユキとマリアは改札を抜けて、藍の家へと向かった。
「藍は会ってくれるかな」
ポツンとマリアが呟いた。



