「藍は、前につきあってた男に何かされたん?」
悟が真っ直ぐにマリアを見た。
「え」
ちょっと驚いて彼女は顔を上げる。
「それは…ウチが勝手にペラペラあんたに喋ることと違うねん」
そう言ってマリアは顔を元の向きに戻したが、悟は質問をやめなかった。
「何か乱暴なこと、されたんか?」
さっきマリアを待つ間、悟はずっとそのことを考えていた。
初め悟は「遊ばれたりホカされたりした」という藍の恋は、たぶん二股でもかけられて酷い裏切られ方をしたのだろうと考えていた。
でも今日の怯えようを思うと、もっと直接的な恐怖が彼女を襲ったとしか考えられなかった。



