藍は電車のシートに体を沈めると、フーッと長い息をついた。



(治ってなかったやん)


一時期頻発した過呼吸の発作はもうすっかり出なくなり、自分では完治したものだと思い込んでいた。


(治るとか治らないとかじゃなくて、動揺するといつもそうなる弱い人間やねんな、私は)




ショックだった…。


(これから男の子にキスされる度にああなるんやわ)



「情けな…」


ポツンと呟いた途端、涙がうるっときた。


ずっと堪えていたものがどっと溢れ出す。



思わず立ち上がり、藍はドアのところに行き窓の外を眺める。