過呼吸は息が荒く早くなり、血中の二酸化炭素が欠乏する。
口に紙袋をあてがい、自分の吐く二酸化炭素の多い空気を取り入れるのがいいとレイコさんに教わって以来、藍はいつも鞄に小さな紙袋を忍ばせていた。
慌てるからか、それが見つからない。
藍は明らかに呼吸困難に陥っていた。
「ハァハァハァハァ…」
苦しくてもはやバッグを探ることも出来ずに、胸を押さえ彼女は体を折り曲げた。
「息が…出来へんのか? 今、救急車呼ぶから」
悟が慌てて携帯電話を取り出したが、藍はかぶりを振って苦しい息の中やっと答えた。
「ただの…過呼吸…三十分で…治る」
並んで座る藍の体がうずくまり震えている。



