(はぁ……あかん、息が苦しい) 藍の唇から洩れる息が激しくなり、悟は驚いて体を離す。 「は、冗談…冗談」 我に返り自嘲して悟は嗤ったが、藍の目はもう彼を映してはいなかった。 「ハァッハァッハァッハァッ…」 肩で息をし真っ青な顔をして、彼女はガサゴソと脇に置いた小さなショルダーバックの中を何か探している。 そこにはないのか、今度は楽譜の入ったトートバッグを探り出した。 「藍?」 尋常ではない彼女の様子に、悟はやっと気が付く。 「…紙袋」 「紙袋?」