(やめて、お願い…) 声が出ない。 どんなに抗っても力では敵わない。 …あのときと同じだ。 そう思ったとき、藍の胸の一番奥がドクッと嫌な音を立て、全身から汗が噴き出してくる。 (あかん、過呼吸に…なる) いつものことだ。 前兆はわかっているのにそれでも体が外せない。 あの夏の日の苦い記憶が藍の心にどろりと蘇り 目の前が真っ暗になっていく――