「マリアはあんたのことが好きなんよ」
空気を変えたくて、藍が明るい声を出した。
「だったらこんなふうにはならんねん…っ」
膝の上に置いた悟の拳がギュッと黄色く固まり、握りしめたその刺を抜いてやりたくて、藍はそっと言い聞かせる。
「なぁ悟、今日会うたらマリアに優しくしてあげて。
バイトそんなに頑張って大丈夫かって、気遣ってあげて。
悟に優しいこと言われたら
マリアはいっぺんであんな男蹴散らすから」
「……」
「あの子は元々あんたのそういう真っ直ぐなところに惚れてるんやから。あとはちょっと余裕を持って優しくしてあげたら、きっと…」
「気休めはやめろやっ」
不意に悟が大声を出したので、藍はビクッと体を震わせた。



