「…何、いきなり。 お菓子はあげたことあるじゃん」 「そうじゃなくて。 母さんが奈都の料理褒めてたんだよね、美味しいって。俺、食べたことないのにさ」 ちらり。圭が私を横目で見てくる。その視線を横顔で受け止めながら、努めて平静を装う。 …おばさん、圭にそんな風に言ってたんだ。美味しいと言ってくれていたのは嬉しいけれど、正直今は困っている。 「…圭が、帰ってこなかっただけだもん」 「俺が修学旅行の日に、あえて作ったんだろ?」