『だって俺は、…奈都の“お兄ちゃん”なんだから』 誰よりも近くにいて、そして誰よりも遠くにいる。 …もちろん本当の兄妹なんかじゃないし、ただの幼馴染みなんだけれど。 けれど圭にとっては、私はただの“妹”のような存在で、“幼馴染み”でしかないのだ。 痛む胸に、淡い感情が芽生えた。 『恋』という名の、苦しくて切ない感情が。