「…そんなわけないでしょ。奈都のことが心配すぎて、離れられないよ」 「…」 「だって俺は、…奈都の“お兄ちゃん”なんだから」 嬉しいはずの言葉に、私の胸がギシギシと音を立てる。 この時、わかってしまったのだ。 私は圭のことを、“お兄ちゃん”のように慕っていたわけではないことを。 圭が私のことを“妹”のようにしか見ていないことを。 …それでも私は、圭が好きなことを。