走って、走って。 走って。 全速力で駆け抜けて、角を曲がったところでようやく息を吐いた。 渡せた。 これで、終わり。 肩の荷が下りたような、でもやっぱり悲しいような。 だけど、不思議とこれで良かったのかもしれないと思えた。 バレンタインに、なんてちょっとひどいことをしたけど最後くらい許してくれたっていいよね。 あたしが、チョコレートに添えた四文字。 それは 確かに、想いを込めた四文字。 けして“好きです”なんかじゃなくて…… 「……っ」 ──“サヨナラ”。