その日から、私と秀くんの進展は何もなかったが、森山先生とは日に日に仲良くなっていった。

それは、決まり事のように森山先生は黒板を消してくれていた。
私は、それを毎日楽しみにしていた。

「森山、結婚しとるよね」
友達と喋ってるときに言われた。
「そうなの‥?」
何故か胸が少し、痛んだ。
「指輪してるじゃん」

私は何も知らなかった。
そりゃそうだよね。
もう30代後半だもん。

「なんか子供小さいらしいね」
みんな、どこから聞いてくるのか、森山先生のことをいっぱい知ってた。

私は何も知らない。
別に、そんなこと何でもないことなのに、すごい悔しくて悲しかった。

私だけの森山先生が良かった。