どうしてか、彼女に限って無駄にメイクをしない方が魅力を増すのだ。
可愛くなる為に私たちはお化粧をして、どんどん分厚く塗りたくりがちなのに結衣は違い引き算が上手く、
また素顔は今よりもっと幼い癖に、凄く色気がある不思議。
ずっと躊躇って喋らないでいた少女――鉄筋の右側を奏でたように愛らしい小さな声がした。
「ねー、なんか…………、クリスマス?、……ねえ、……クリスマス。する、かも」
砂時計が落ちる音量の如く、ささやかな美しさ。
何を意味するのか。
お年頃の高校生なら答えは一つ。
言及するなんてオシャレではない。
付き合って約八ヶ月。
それなら何も問題ない時期だろう。
彼女を見れば、必然的に頭の中には黒髪がよく似合う凛々しい少年が浮かんだ。



