緑色が不足している運動場の端には、茶色の寒々しい植木が一定の距離を保ち突っ立っている。
もうすぐ葉っぱが落ち始めるから、外掃除は終わりなき戦いに大変そうだ。
「ねえー、」
お弁当は半分くらい底が見えてしまっている。
お昼休み、三分の一を費やしている。
「なんか、ねー……」
……。
相談があると自発的に季節を無視した屋外へ誘った癖に、話を進めない結衣。
「……ねぇ、」
ここは人々の行動をスローにさせ、ゆっくりと物事を進めたがる魔法でもかかった場所なのだろうか。
会話にならない単音を発するのみで、あと何分を無駄に費やすつもりなのか謎だ。



