切ない純愛崩れ


廊下に響く遅刻に焦る足音が学校らしさを演出している。


曖昧にはにかむ色白の彼女は、どうしてか眩しくて恋愛に輝くから可愛い。

やっぱり可愛いと、こんな子になりたいと願わずにはいられなくなってしまうばかりだ。


「ね、大塚くん、結衣ってば惚気がウザイんですけど」

結衣を茶化しつつも、私は大塚に話を振った。
そうしたら彼は、泣きそうな顔で笑った。


  ……これで、良いし

クラスメートの誰も知らない。

小崎里緒菜という人物は好きな人を悲しませてやろうとする悪魔だということを。

そう、『結衣は近藤君とラブラブ』としきりに口にし、彼に失恋を教えてあげることが私の使命なのだ。