――だから、駄目。
駄目。絶対に駄目。
これ以上、自分以外を好きになってはいけない。
好きな人の魔法にかかった少女は遠目で分かるくらい頬が赤く、恥じらう姿は可愛い。
だから何をしていなくても、大塚をときめかす魔術。
さりげなく予鈴が鳴り響けば、頭の後ろに振動する。
近藤君と別れ、戻ってきた結衣にすぐさま声をかけた。
「近藤くんってすっごい結衣んこと好きなんじゃん? もー、ここまでラブラブオーラ来たから」
なかなか言わない胡散臭い感じの文章を私が笑顔でまとめると、
「えー! 威力強っ」と、反応する結衣を、しきりに顔が赤いと囃し立てた。
ナルシスト気質があるにも関わらず、自分は凄く可愛くないと思うから、
他者からすれば非常に可愛くないのだろう。



