「見てよ、結衣の顔、でれっでれ」
センチメンタルに浸る女は好きじゃないから、野次馬ながらのガヤを飛ばし笑ってみせた。
強がりでも構わないから泣かないように私が頑張って笑顔を作るのに、
恋する結衣を眺める大塚は、ますます元気がなくなる。
つまり、それだけ彼女を想っているということ。
もしも結衣だったら彼を笑せてあげることができるのに、
必要がない自分は何もできなくてむなしい。
…………。
、嫌い
言えない想いを堪え、唇を噛み締めた。
最近グロスを塗らないようにした理由は、今のような切ない時に食べてしまうからだ。



