笑えるくらい愚かではないから、私だって把握している。
もしも大塚が結衣を諦めたとして、新しく恋を始める時に私が相手になる可能性が低いことを。
「あんなカップルなりたいね?」と、再び本音を零していた。
「うん」
結衣が結衣で近藤君が己なら、大塚という人はひどく幸福なのだろう。
どうして結衣を好きで、私を好きになってくれないのか。
そんな疑問は悩むだけ無駄だから、気にしていないフリをする。
だって結衣は結衣で私は私だから。
似ている部分は性別のみで、雰囲気が全く違う私たち。
大塚の好みな彼女を真似て髪を伸ばしたことを秘密にしようが、
誰も知らないからまったく報われやしない。
小さな努力は気付かれないから、頑張るだけやっぱり切なくなる。



