報われない恋に、しんみりと浸ることは嫌いだ。
だって私が一人切なくなっても大塚は結衣を好きなままだから、あまりに無意味過ぎる。
「いいな、あんなカップルなりたい」
本心だった。
両手の指を絡める祈りのポーズをとり、わざとらしく明るい口調で呟いてみた。
私と大塚が丁寧に眺めるのは、正に女子高生という青春を送る可愛い十六歳の少女。
結衣が私で近藤君が大塚だと設定してみれば、里緒菜という自分は幸せなのだろう。
……。
いつ結衣んこと諦めるのかな
振られた癖に、なんで結衣?
片思いをしてからの自分は、なんだか悩むことが趣味になったように思う。
口癖は切ないになったように思う。



