ブレザーの裾を引っ張り、軽く微笑んでから純愛の呪文を唱えた。
「でもクリスマス会中止で良かったくない? だって考えてよ、泊まりとか。結衣と近藤くんって前の日に、ね? なんか、あれだよね? 気まずい、あはは」
私が笑えば珍しく大塚も笑う。
馬鹿が二人笑ったから切なさが消えたような気がした。
空にある太陽を心に反映したら良いのだと言い聞かせて窓の中を覗けば、変な顔をしている女の子と目があった。
「本当二人お似合いだよね! 大塚くん結衣みたいな彼女できたらいいね?」
……やっぱり私の恋愛はおかしい。
通常女子高生の純愛ならば、彼は今私の発言にカチンときているはずで、進路資料室に引っ張りこんで捨てれない結衣への想いとウザイ小崎里緒菜への怒りから、
あらまあ犯罪、乱暴をするはずなのに。
なんとまあ妊娠でもしちゃうはずなのに。
そんなハプニングから私たちの間には運命的な愛が芽生えるはずなのに。幸せしかないはずなのに。
現実の世界は何もない、私は好きな人の感情を乱せないし、相変わらずこいつはあの子を好きなままだった。
それから天気が劇的に変わって雨も降らないし雷も鳴らないから、荒れた心の演出をしてはくれなかった。



