市井君の隣に居る結衣がテーブルに置いている携帯電話には、
Yのストラップと数時間前まで私のものだった黄色の小鳥がくっついている。
――もうすぐ愛してやまない男の子から指輪をプレゼントされる幸せしかない女の子。
「大丈夫、俺ね、迷惑なくらい愛されてるから」と、笑う近藤君。
「田上さん、洋平にベタ惚れだよね」と、笑う市井君。
なに、これ
無意識に眉間にしわを寄せている私という愚か者。
ああ、いつだって結衣を取り巻く世界には笑顔で護ってくれる人が居る。
悪い魔女の意地悪は、お姫様を愛する王子様とその側近によって遮断されるのだから。
皆に愛護される結衣、誰も傍に居ない私……それが大塚に好かれない差?
だとしたら切なくなる。
「お姫様が浮気しないように見張らなきゃだね?」
大きな冗談に一瞬地球が止まった気がした。



