腰くらいの高さをしたショーケースに乗っかるように上体を屈める近藤君は、
電車の窓から夢中で景色を眺めている子供みたいで可愛い。
前髪に隠された目、半開きになった唇、好きな子を想う横顔は凄く美しかった。
「迷う?」
「ん? でも決めてたから。これ見て、これ一番似合うくない? 優柔不断じゃないのよ我は」
錠剤を触るみたいに力を抜いた指先で彼が紹介するのは、何にもない輪だった。
値段はレディースとメンズ二つで三万円ちょい。
高校生としては結構まあまあ頑張った値段の割に見た目が地味すぎて、
これにするなら、同じお金を支払うのだしどうせなら高級で有名なブランド物にすれば良いのにと思った為、
「え、なんもないじゃん、こんなん二千円に見えるし」と、つい本音が零してしまった。
だって、いくら良質だろうが、ただの輪。ほんっとにただの輪。
せっかく三万円も出すのに、ちっともブランド感がないし、むしろしょぼいと思った。



