そこで私はすぐに話を変えた方が良いと思って、椎名くんを木下くんに紹介した。

「えっと、こちらは私と同じクラスメイトの椎名翔太くん」

「あー、そうなんだ」

椎名くんはペコッと頭をさげる。
すると、今度は木下くんが全く興味なさそうだった。
…どうすればいいの?
私は困って下をむく。
ベッド見たって意味ないんだけど…。

―ガタンッ―

その音に、ビックリして私は顔をあげる。
すると、笑った顔して不機嫌そうな木下くんが

「邪魔者は出とくよ」

それだけ言い残すと、出て行ってしまった。

「あ…」

その木下くんの背中を見て、止めようか迷ったけど、私は椎名くんと二人きりでいる時間をとってしまった。

「し、椎名くん、最近学校どう?」

「んー別に?相変わらずフツーだけど」

「美冬は…元気にしてる?」

「うん。うるさいくらい」

会話が続かなくて、困った…。
適当に話を作ろう!と思って喋りだしたけど…。

「もうすぐ秋も終わうー…」



「え?」

また…ろれつが回らなかった。
私はすごく恥ずかしくなった。
だって、大好きな椎名くんに変な…

「あーそうだな。終わっちゃうな~」

だけど椎名くんは、返事を返してくれた。
きっと、ビックリして沈黙になっちゃうと思ったけど、椎名くんはずっと喋り続けた。

「俺らが仲良くなったの夏だったよなぁー。早いなぁ」

「うん…」

「てか、夏に一緒に夜空見てたら夏の大三角形とか見れたのにな」

「うん」

全部全部、長い言葉を椎名くんが喋ってくれて。
返事は「うん」だけでも良いように…。
椎名くんはまだ喋り続けてくれる。
その優しさに、今度は胸が嬉しい痛みになった――…