【完】天体観測 ~キミと見た星~



次の土曜日。
お母さんは朝早くから来てくれて、私の準備を手伝ってくれた。

「なにかあったら、すぐに電話してね。絶対安静にしてなさいよ」

「わかってるって」

お母さんは念に念を押すように、しつこく言ってきた。
さすがに私も呆れる。

パンパンにしたバッグを見つめて私は嬉しくなった。
お泊り…。
実は、お泊まりは始めてて、かなり緊張してたりする。
だけど、やっぱり楽しみの方が勝ってるんだ。

やっと高校生らしいことが出来る。
私の心の中はそれだけでいっぱいだった。

―コンコン―…

すると、美冬がやって来た。

「よっ!迎えに来たよー!」

相変わらず、美冬は元気溌剌(ハツラツ)だった。

「荷物どれ?持つよ」

「え!良いよ!」

「良いからっ、貸しなさい~」

思い思い私の荷物なのに、美冬は持ってくれた。

「本当にいいよ。持てるし」

「良いの。誘ったの私だし」

ニカッと笑う美冬は眩しかった。

「じゃあ、お母さん、行ってきます」

「行ってらっしゃい。美冬ちゃん、よろしくね」

「はいっ!」

私と美冬は、病室を出て、病院を後にした。
病院を出る途中、いろんな看護婦さんに「行ってらっしゃい」と笑顔で送ってもらって、すごく嬉しかった。