「学校はどう?」
お母さんは気を利かして、病室から出て行った。
「んー…、まぁまぁかな?相変わらずロンティは五月蠅いけど」
笑って学校の話をした。
“ロンティ”とは、私達の学校に居る、ロン毛ティーチャーのこと。
正式な名前は“清水”なんだけど、ロンティは愛称。
「でも、楽しそうだね~」
「うん、まぁね。星夏も早く良くなってロンティ黙らせてよ」
「ハハッ」
「……ねぇ」
「うん?」
「良いの?」
「何が?」
「…椎名のこと…」
美冬は少し遠慮しながら聞いてきた。
椎名くんのこと…。
「良いって…なにが」
私は椎名くんの名前を出されただけで、声が少し震えた。
「だって…!…好き…なんでしょ…?」
美冬も少し声が震えてるような気がした。
「…なんでそうなるの」
私は無理をして少し笑った。
美冬の顔は少し哀しい顔をしていた。
「好き…じゃないよ?」
自分でそう言ってるのに、涙が出てきそうになる。
なんでだろう?
いつから?
私ってこんなに椎名くんが……
「素直になりなよっ、椎名だって心配してるよ?」
「…言ったの?」
「え?」
「私が病気だって…椎名くんに言ったの?」
「え、……っ」
美冬は黙って下を向く。
その行為を見て分かった。
言っちゃったんだ…。
「椎名に聞かれて、重い病気だとは言ってないけど、病気って事は…言った」
ごめんっ!と謝る美冬に私は少し笑っていいよと言う。

