【完】天体観測 ~キミと見た星~



「私…あの医師で良かったよ」

「ふっ…なに?急に」

お母さんは少し笑って、また花瓶の花をいじりだす。
だって、あの医師だったから、私はここまでこれたんだと思う。
信じれたんだと…思うんだ。

―コンコン―…

「よっ!星夏ー」

すると、病室の扉が勢いよく開いて、美冬がちょこっと顔を出した。

「あっ!美冬~」

美冬はニッコリ笑って、私のお母さんを見ると

「あ、おばさん。こんにちは」

ペコッと頭を下げた。
それにお母さんも

「美冬ちゃん、こんにちはー。来てくれてありがとね」

軽く頭を下げてお礼を言った。
美冬は私ベッドの横に椅子を持ってきて、座った。

「はいコレ。授業のノート」

「あっ!ありがと~」

「入院してても、勉強はしてた方が良いからね」

「うん…」

また、学校で勉強出来るか…わからないけどね。

少し下を向いた私に、美冬は気付いたのか、

「なぁに変な事考えてんの!絶対に学校来れるって」

私の背中を気合いを入れるように、ベシッと叩いてそう言った。
それに、私も笑顔になる。

「うんっ」

「それまで、私がノート持ってくるから」

「…ありがとう」

美冬は本当に優しい。
美冬が友達で、本当に良かった…。

ありがとう、美冬。