―星夏side―…
今日は美冬がお見舞いに来てくれるとのことだった。
私は朝から少しテンションがあがっていた。
「嬉しいわね、美冬ちゃんが来てくれて」
お母さんは一日中私に付きっきりでいてくれる。
そして、花瓶の花を変えながら、そんなことを言った。
「うんっ」
私は素直に頷く。
入退院の繰り返しが多かったから、友達と言う友達はいない。
だから、唯一来てくれる美冬がすごく嬉しいし、ありがたいんだ。
この間は取り乱しちゃったけど、そのあとちゃんと医師と話したんだ。
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『星夏ちゃん。落ち着いて。大丈夫だから』
『なにが…大丈夫なのよ…っ!!』
『大丈夫。星夏ちゃんは死なない。』
『そんなの口でならいくらだって言える!』
泣き叫ぶ私の肩を、医師は強く握ってこう言った。
『私が死なせない』
その言葉だけで安心出来た。
嬉しかった。
医師の瞳は嘘をついていなかった。
私は崩れ落ちて、また泣いた。
今度は“死にたくない”って涙じゃなくて、“生きたい”という涙だった。
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