俺はその日、友達の見舞いに、病院に来ていた。
真夏で暑く、汗をかきながら入った病院は涼しかった。


「あっちー…」


そんな独り言をぼやきながら友達の病室を探す。


「あー、あった」

部屋を見つけると、ドアを二回叩き病室へと入る。


「よっ」

「おう、来てくれたんだ」

病室のベッドで寝ている奴は俺の幼いころからの友達。
幼なじみってやつ?


「これ持ってきた」

そう言って、ベッドの上に出ている机に、頼まれて持ってきた本を置く。

「おーありがとー。この本前から読みたかったんだよなぁ」

「お前が入院とかまじビビったわ」

「ごめんごめん。でもすぐ退院だってよー」

さっそく持ってきた本を開きながら、呑気に言う幼なじみ弘樹に、俺は溜息をつく。

「それにしても暑いなぁ。ココは涼しいけど」

「汗だくだな。自動販売機でなんか飲みもん買ってこいよ」

「うーん。そうするか」