鈴原との距離が近づいた。
前よりもっと鈴原が近くなった。

…気がする。


「どう?南くん」

「うん、もう退院だって」

「そうっ良かったね!」


その日もいつもみたいに他愛もない話をしてた。

その時間が俺的には楽しかったりする。

他の女子と喋るより、他の友達と喋るより…。



「あ~、南くんと言えばお見舞い。お見舞いと言えばアイスだねっ」


真夏の暑い教室の中で、鈴原はキラキラに笑う。


「なんだそれ」


鈴原の言っている事が可笑しくて面白くて俺も笑う。


「だってお見舞い行ったあの日、アイス食べたでしょ?」

「あー」


あれか。
俺的にはアイスといえば鈴原…。

鈴原が俺のアイスをかじった事を思い出して顔が熱くなるのが、わかった。


「あれ?椎名くん、暑い?」

鈴原に悟られそうで、必死に平然を装う。

「別に?平気平気」

「そう?」

内心ドキドキしてて、またぎこちない。
汗がよけいに出てきて、俺はその汗を制服の裾でぬぐう。