その日の夜。
クラスメイトや、鈴原の親。
優木も集まった。

「星夏…あんた…馬鹿だよ…っ!馬鹿っ!!…急すぎんでしょーが…」

泣きながら、鈴原に文句を言う優木。
そんな優木に胸が締め付けられた。

「星夏ちゃん…」

「鈴原ぁ…」

一人、一人…

鈴原にお別れしていく。

その最中も、鈴原は微笑んでいるままだった。

「椎名くん」

その時、後ろから鈴原の声が聞こえた。

「っ!」

思わず勢い良く振り返る。

「星夏、幸せそうでしょ」

だが、それは鈴原じゃなかった。
鈴原なわけがない。

鈴原の、おかあさんだった。

「…そうですね。綺麗な顔してます」

その一言を言うだけで、胸が締め付けられて、涙がこぼれそうだった。

だけど、俺はその涙を我慢する。

「椎名くん。あなたのおかげよ。星夏の最期に一緒にいてあげてありがとう」

なぜか、鈴原のお母さんは俺に礼を言った。

俺は…礼を言われるようなことはしてない。

「俺は…なにもしてないですよ…」

「……」

「俺は…っ…鈴原の代わりになれなかった…。ただ…鈴原が死んでいくのを傍に見る事しか…っ」

我慢していた涙が、とうとう流れ出す。

泣きながら、そんな事を言った俺に、おばさんを言った。


「そんな事ないわ。あなたが星夏の傍にいれくれたおかげで、星夏は今、笑ってる」

「……っ…」

とめどなく流れる涙。