私はそれから、よく椎名くんと喋るようになった。
理由?
たぶんないよ。
ただ、気が合いそうだったから。仲良くなれそうだったから。

それだけだと思う。



病気のこと、椎名くんには言ってない。
他の友達にも言ってないんだもん。

知ってるのは、幼なじみの美冬だけ。


椎名くんに言いたい自分がいる。


でも、言ったらきっと離れちゃいそうで、言えないんだ。


「鈴原、これ食べる?」


机に座って窓をボーッと眺めてたら、椎名くんが喋りかけてきた。
お菓子を差し出して。


「え、良いの?」

「うん、なんか今日のお前ボーッとしてるから、これ食って元気出せよ」

私は、じゃあ…と言って椎名くんからお菓子を貰った。
これ食べたら元気だそう!

「鈴原…、なんかあったのか?」

「え?なんにもないよ?」

なんにもない…はず。
だって、病気だって異常なしだったし…

むしろ嬉しいはずだと思うんだけど…

「お前の顔が元気なさそう」

椎名くんはそう言った。

わかるの?
私のことが椎名くんには全部わかっちゃうのかな?