「なに泣いてんだよ」

椎名くんはハハッと笑って、私の頭を撫でた。

太陽と、海が私たちを祝福してくれる。

「だって…夢…みたい…っ」

「夢じゃないよ」

顔を隠す私の手を、椎名くんはソッと優しくどける。
そして、見つめ合った私たち。

お互い、顔が赤くなる。
だけど、目を逸らさない。…逸らせない。

「ありがとう…椎名くん…」

「…こっちこそ、ありがと」

そう言って、椎名くんは私の頬に短いキスを落とす。

私は世界で一番の幸せ者だ。

ありがとう、ありがとう。椎名くん…。

「実はさ…」

「ん…?」

椎名くんは自分のポケットからゴソゴソと、何かを取り出す。

「…なに…?」

そのポケットから出した箱を、椎名くんはゆっくり私に向けて開ける。

中に入ってるものが、太陽と海によって、キラキラ光る。

「…指輪」

そう。
それは、綺麗に光る…指輪。

「え…」

「はめてみて」

私の手にスッポリとおさまった指輪は、満足そうに光る。

「…これ…」

「うん。すっげー安物だけどな」

照れくさそうに笑う椎名くん。

「…ぁ…」

感動して、言葉も出ない。