「ただいま」
「え!翔太!?もう帰って来たの!?」
玄関の戸を開けると、三歳上の姉貴が飛び出してきた。
ああ…
そういえば、学校途中で抜け出したんだった。
「うん…」
「アンタ…具合でも悪いの?」
「いや、ちょっと…」
姉貴はそれ以上何も深く聞いてこなく、俺は自分の部屋へと入った。
「はー…」
今日はよく溜息が出る。
俺はベッドに思い切りダイビングした。
「……」
特にすること無いし、寝ようかな…。
そう思って目を瞑った時、ノック音が聞こえた。
「翔太ー?入るよー?」
「んー」
―ガチャ―
「なに?」
俺はベッドに埋めてた顔を上げて、尋ねる。
「んー。たまにはアンタと話したくてね。最近話してないでしょ?」
「なんだよそれ」
姉貴は俺のベッドの端っこの方に腰をかける。
「翔太も、もう高三かぁー…。悩みとかあるでしょ」
「……」
「あれ?ないの?」
「…まぁ、それなりに」
「ほほーう。それはズバリ恋?」
「……」
さすが姉弟だけあって、恋愛の話をするのは、恥ずかしい。

