でも、だからと言って、あんな奴には絶対に渡さない。
俺はまた病室に戻る。
すると、星夏ちゃんはゆっくりとベッドから起きあがって俺に聞いてきた。
「ねぇ、さっき話声聞こえたけど、誰か来てたの?」
「……ううん。気の所為だよ」
「そう…」
残念そうな顔をする星夏ちゃん。
そんな顔するなら、あんな嘘つかなきゃ良かったのに。
そしたら俺だって、こんな事しなかったのに。
君が「協力して」って言ったんだよ?
だから俺は協力した。
「嘘をつかないで」なんて言ってないだろ?
きっとまた来ると思う。
でも、その度に、俺が追い返してやる。
それも、君の為だ――……

