「うしっ!」
俺は気合いを入れるかのように、勢い良く立って、鞄を持つ。
「あれ?翔太もう帰るの?」
クラスの奴にそう言われて、「あぁ」と返事すると、俺は教室を後にした。
行こうじゃないか。
鈴原のもとへ。
鈴原が俺を必要としてなくても、俺は鈴原が必要なんだ。
もう、今の俺には、鈴原の居ない“今”なんて、考えられないんだ。
鈴原に追い返されたって良い。
もし、何度も会いに行って、それでも駄目なら、それはそれでもう仕方ない。
鈴原が、違う男の事好きだっつうなら、俺はキッパリ諦める。
それが、男ってもんだろ。
俺は自転車置き場まで行くと、鞄に閉まっておいた自転車の鍵を取り出す。
その最中、
「あれ?どこ行くの?」
優木に会った。
「鈴原んとこ。俺、アイツがいないともう駄目みたいなんだ」
「……私も行くっ!」
優木の思ってもいなかった言葉に、ビックリした。
だけど、優木の瞳は真剣だった。
優木にだって、鈴原はかけがえのない大切な奴なんだ。
「後ろ乗れ」
―ガチャン―…
俺は自転車の鍵をはめて、自転車置き場から自分のを引っ張りだす。
優木は自転車の後ろに乗って、しっかりと俺に腕を回す。
「飛ばすからな。ちゃんとつかまっとけよ」
「わっ、わかった…っ!!」
俺は勢い良くペダルを踏む。
君の事を想いながら――……

