―翔太side―…
あれから。
あの日から。
俺は鈴原に会いに行ってない。
会ったって意味ないと思うんだ。
あんな…鈴原に会ったって…。
「椎名もなんだ」
昼休み。
俺は優木と鈴原について話していた。
「私もなんか避けられてる感じ…」
優木は酷く落ち込んでいた。
「なんでだろうな…」
なんでだろう?
俺だけじゃなく、昔っから仲の良い優木まで。
アイツに何があったんだ?
「今は、話しても意味無いと思う」
「あぁ」
季節はあれから冬になった。
寒い日々が続く。
鈴原と仲良くなった夏と正反対の季節だ。
「あっれー!?なになに?そんな悄気(しょげ)ちゃって」
真剣に悩んでいるとき。
後ろから能天気な声が聞こえた。
俺と優木はダルく後ろを向く。
「うっわー!!敷けた面」
そこには予想通りの弘樹がいた。
「お前…元気だな」
「いやいやいや。俺超普通。いつもと一緒!お前らが敷けてるだけ」
俺は目を細めた。
なんだか弘樹が輝いて見える…。
「そんな顔で何話してたんだよ」
「…別に」
そうだ。
まだ弘樹に言ってないんだったー!
「うわー。二人で内緒話とか怪しっ」
「そんなんじゃないわよ!」
ムキになって優木が身を乗り出す。
「はぁ?冗談だって」
今日の弘樹は一段とヘラヘラしていた。

