「冬夜…」



誰かが僕の名前を呼んでいる。


「冬夜…逃げて…」



母さん?
どこにいるの?



「…逃げて!!冬夜ぁ!!」


母さんの叫び声、それと同時に聞こえる肉を引き裂く鈍い音。

ドサッ


目の前に母さんが倒れている。
「か…母さん?」

その肩に触れ、左右に揺すってみる。
しかし、動く気配は全くない。
床を這う血が僕の足元まで来ていた。
ようやく実感する。
“母が死んだ”ということ。




「ああああああああ!!」



僕は狂ったように叫び続けた。