更にとどめを刺すように、"母"は沙市の手を取ると熱いまなざしでこう言った。 「私ね、沙市と一緒に暮らせないかなあって思ってる。」 「……え?」 ――最悪だ。 「これまで私の勝手で寂しい思いをさせたわけじゃない?これからその償いができないかなって、思ってるの。」 これ以上ない最悪の提案だった。 今この瞬間、これまで穏やかだった沙市の世界は、崩壊へと大きく舵を切った。