「あのさ、…お兄さんって、士族のヒト?」 ちょうど橋のたもとでワサビの足が止まった。 「元、な。」 「じゃあさ、昔は刀とか持ってたんだよね?ちょっとあたしも聞きたいことがあるんだけど…」 「なんだ?」 再び向き直ったワサビに、少女はいつもは獲物に対してする質問を口にした。 「お兄さんさ、"クロトラ"を知ってる?」