× × × ×
「ふぅ…」
再び月が顔を出し、静かになった橋の上を柔らかく照らし出す。
あごの下までずれてしまった覆面を直しながら、小柄な襲撃者は小さく息を吐いた。
――久坂の斬撃を避けたときにずり落ちたのだが、覆面をつけていてもこの賊が華奢な少女だということはゆっくり観察すれば誰にでも分かる。
少女は握っていた刀を腰の鞘に戻すと、仕留めた獲物に近づいて行った。
「うわ、キレーに伸びてるー。」
橋と岸の間にまたがって、制服姿の男が大の字に気絶していた。――見事みぞおちに少女の突きをくらって。
少女は男の脈を確かめ、頭を転がして息が詰まらないような姿勢にしてやった。
それから男の手から吹っ飛んでしまった彼の刀を手に取ると、柄から刃先まで、何かを探すようにじっくりと観察した。
「んー…期待はしてなかったけど、やっぱちがうか。」
そう言ってちょっとため息をつき、久坂のベルトから鞘を取り上げる。
久坂はそう背が高い方ではなかったが少女が持つと彼の刀はずいぶん大きく見えた。
「おも…なんか軽そうに見えるのにな、日本刀って。」
「ふぅ…」
再び月が顔を出し、静かになった橋の上を柔らかく照らし出す。
あごの下までずれてしまった覆面を直しながら、小柄な襲撃者は小さく息を吐いた。
――久坂の斬撃を避けたときにずり落ちたのだが、覆面をつけていてもこの賊が華奢な少女だということはゆっくり観察すれば誰にでも分かる。
少女は握っていた刀を腰の鞘に戻すと、仕留めた獲物に近づいて行った。
「うわ、キレーに伸びてるー。」
橋と岸の間にまたがって、制服姿の男が大の字に気絶していた。――見事みぞおちに少女の突きをくらって。
少女は男の脈を確かめ、頭を転がして息が詰まらないような姿勢にしてやった。
それから男の手から吹っ飛んでしまった彼の刀を手に取ると、柄から刃先まで、何かを探すようにじっくりと観察した。
「んー…期待はしてなかったけど、やっぱちがうか。」
そう言ってちょっとため息をつき、久坂のベルトから鞘を取り上げる。
久坂はそう背が高い方ではなかったが少女が持つと彼の刀はずいぶん大きく見えた。
「おも…なんか軽そうに見えるのにな、日本刀って。」



