「早くしなさい」 気乗りしないあたしの気持ちはそっちのけで、ママの無情な声が聞こえる。 あたしは、アイボリーな自分の部屋から、ホワイトなリビングに降りた。 「まったく、ママは塾なんて行かなかったのにあんたには無駄なお金がかかるわねぇ・・」 車が発進するなり、ママはあたしに聞こえるようにひとりごとをいった。 ・・・あたしに言ったのかもしれないけど、あたしは返事をしたくないから、 ひとりごととみなした。